第48話 守りたいもの
次の日の朝、ルイスは珍しく毎日の習慣から逸脱した行動を取っていた。 秋が深まりつつあるこの季節の早朝は、空気が張り詰めていて、上着なしでは肌寒い。 ルイスは、エミリアがこの時間帯にいつも剣術の稽古をしていることを知っていた。「ミリィ」 エ…
第49話 越えられない壁
「トリスタン!」 ハーナルの騎士が数人、トリスタンを取り囲んでいる。今にも連行されそうな様子だった。トリスタンが主人の姿を認め、驚いたように振り返る。「王女」「トリスタンはわたしたちとずっと一緒にいたわ。彼には無理よ」 答えたのはエドゥアル…
第50話 演じるということ
ミヒャエルの聴取が終わったあと、リートの部屋では、例によってまた四人が集まっていた。「議会が荒れているようだ。ハインリヒと連絡を取るのをやめてしまったから、わたしも正確なところはわからないが、どうも状況は芳かぐわしくなそうだ」 ミヒャエル…
第51話 図書室で
なにかが変だ。 なにが変なのかわからないが、変だということだけはわかっていた。 リートは昔から気になることがあると、突き詰めないと気が済まない性格だった。食事しているときも入浴しているときも、朝から晩までそのことを考えてしまう。「おはよう…
第52話 科学の本義
ミヒャエルがリートの部屋を訪ねてきたのは、休暇の最終日だった。「犯人が自首してきたの?」 リートは驚いてそう言うと、ミヒャエルがうなずいた。「ああ。今朝のことだ。正確には爆薬を調合した犯人だが」 今部屋にいるのは、リートを除けばルイスとミ…
第53話 好きなこと
次の日、エミリアはリートの部屋の前でルイスに入室を阻まれていた。「ちょっと、どういうことよ面会謝絶って」 エミリアが抗議すると、ルイスが淡々と答えた。「リートの頼みだ。知りたいことがわかるまでだれにも会わないと」 エミリアが訝しげな顔にな…
第54話 消えた台本
次の日、リートは聖殿にいるユーリエの元を訪ねていた。「もう体調は大丈夫なの?」 はい、とユーリエがうなずいた。「申し訳ありません、わたしが意識を失ったせいで、ルイス様もリート様も危険な目に遭わせてしまって」「君は悪くないよ。悪いのは犯人の…
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2022.1
