第55話 招待
その機会は唐突に訪れた。 リートがいつものように部屋でエミリアと談笑していると、そこに突然ミヒャエルが緊張した面持ちで訪ねてきたのだ。「アルベリヒが屋敷に招待してきた」 前置きなしでそう言ったあと、ミヒャエルが黒い封筒を卓の上に投げた。 …
第56話 光と影
「例えば、あれはなにに見えます?」 アルベリヒが視線で示したのは、部屋の奥に飾ってある金色の物体だった。 前足を高く上げて嘶いななく馬に、人が騎乗している。「像だろう」「絵だ」 同時にそう答えたミヒャエルとルイスは、互いに顔を見合わせた。「…
第57話 避難
エミリアが菓子を片手に不機嫌そうな顔で言う。「それで、どうしてルーツィアが狙われなきゃいけないの? この件に直接関係ないのに」 いつものように、リートの部屋にはエミリアが来ていた。 アルベリヒの屋敷に行ってから、丸一日が経とうとしていた。…
第58話 開かないオルゴール
ルーツィアの部屋の前でルイスと別れ、リートはルーツィアと部屋に入った。 ルーツィアがリートに手ずから紅茶を入れてくれたのでリートは驚いたが、彼女は召し使いを置かずに一人で暮らしているのだとリートに説明してくれた。「ルーツィアのお父さんはここ…
第59話 刺客
その夜、独房の中で、ノルベルトは自分の身柄が司法省に引き渡されないと知って、計算通りだと内心でほくそ笑んでいた。 ハーナルの連中は悔しがるだろうが、自分を欲しがる議員は何人もいるはずだとノルベルトは確信していた。 巡回にやって来た看守の足音…
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2022.1
