第22話 ミヒャエルの屋敷
ミヒャエルの屋敷は、リートが想像していた貴族の大邸宅とは違ったが、とても洒しゃ落れた屋敷だった。重厚さはまったくなく、明るくて開放的な雰囲気で、二階にある居間には趣味の良い調度品や家具が並んでいる。 彼が手ずから紅茶を淹れたのでリートは驚…
RIHITO第3章 文章RIHITO
第21話 誘い
翌朝、リートは侍女が自分を起こす声で目が覚めた。考え事をしながら眠ったせいで頭が重かった。「どうしたの?」 半分寝ぼけたままリートが声を出すと、侍女が頭を下げた。「シェーンドルフ卿がお見えです」 ミヒャエルのことだとわかった瞬間、ぼんやり…
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第20話 ミヒャエル
「いい天気ですね、リート様」 ヴェルナーが気軽な調子でそう言った。「そうだね……」 リートが力なくそう返すと、ヴェルナーがからりと笑った。 彼の笑顔は、今の晴れ渡っている空と同じくらい明るく、開放感に満ちていた。「そんなに心配しなくても大丈…
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第19話 エミリアの憂鬱
「宴の日取りが来週に決定した」「そう」「行きたくないか?」 リートはルイスに苦笑いしてみせた。「人が大勢いるのは疲れるだろうなと思って」「わたしも乗り気はしない。だが個人的にリートには出てほしいと思っている」 そう言ってルイスはいつも以上に…
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第18話 君のために
メルヒオルの部屋で、ゾフィーは冷静に筋道を立てて、ユーリエがいかに間違ったことをしたかということ、今まで通り俗世間と関わらないことが大切だということをメルヒオルに懇々と説いた。 すべての話を聞き終えてから、メルヒオルは今度はリートのほうを…
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第17話 知らない感情
地震だと思ったリートは、出口を確保しようとすぐさま寝室の扉を開けたが、居間の様子を見て驚いた。居間は室内燈シャンデリアから棚の上の調度品に至るまで、なにひとつ揺れていなかった。 思えばルイスが真っ先に駆けつけてこないのも、召し使いたちが騒…
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第16話 ユーリエの過去
宣言通り、エミリアは昼休みに訪ねてきた。「朝から災難だったわね、リート」「本当だよ」 リートは紅茶を飲みながらため息をついた。「ゾフィーのような人が僕は苦手みたいだ」 エミリアが深くうなずく。「わかるわ。わたしはゾフィーが大嫌い。授業もつ…
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第15話 ゾフィー襲来
だれかが自分の肩を揺すっている。「リート様」 うつらうつらしていたリートは、その声で飛び起きた。慌てて時計を見ると、もうすぐ侍女が来る時間だった。 リートは急いで支度をすると、ユーリエを寝室に連れていった。「ここに隠れてて。僕がいいって言う…
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第14話 いつもと違う朝と夜
地下の聖殿で、ユーリエは地面に坐り込み、リートが供えた花束をじっと見ていた。薄紫色の瞳からは、相変わらず感情を読み取ることができなかった。 その時、螺旋階段を下りる音が辺りに反響した。現れた女性の影がユーリエを見下ろす。「なにを考えている…
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第13話 謁見のあとで
「ひどいよ、ミリィ様。僕にはああ言っておいて、自分はいたずらするなんて」 リートが抗議すると、エミリアは楽しそうに声をあげて笑った。 今のエミリアは礼装ではなく、あの夜と同じようなミモレ丈のドレスに、足元は足首まである深靴ブーツという出いで…
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第12話 謁見の間で
(……どうしよう) 廊下を歩きながら、リートは今日何度めになるかわからないため息をついた。 リートは、王族に会うために謁見の間に赴いていた。 エミリアの言っていたことが本当だったとルイスが告げたのは、昨日のことだった。 ルイスによると、べつ…
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第11話 決闘と王女
困ったことになった。 リートは寝台の中でため息をついた。(騎士って、やっぱり名誉が大事なんだ) だが、そのために決闘するなんてどうかしているとリートは思った。 リートのいた世界では、私闘は禁じられていた。今どきそんなことをするのは、反社会…
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