第58話 開かないオルゴール
ルーツィアの部屋の前でルイスと別れ、リートはルーツィアと部屋に入った。 ルーツィアがリートに手ずから紅茶を入れてくれたのでリートは驚いたが、彼女は召し使いを置かずに一人で暮らしているのだとリートに説明してくれた。「ルーツィアのお父さんはここ…
RIHITO第7章 文章RIHITO
第57話 避難
エミリアが菓子を片手に不機嫌そうな顔で言う。「それで、どうしてルーツィアが狙われなきゃいけないの? この件に直接関係ないのに」 いつものように、リートの部屋にはエミリアが来ていた。 アルベリヒの屋敷に行ってから、丸一日が経とうとしていた。…
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第56話 光と影
「例えば、あれはなにに見えます?」 アルベリヒが視線で示したのは、部屋の奥に飾ってある金色の物体だった。 前足を高く上げて嘶いななく馬に、人が騎乗している。「像だろう」「絵だ」 同時にそう答えたミヒャエルとルイスは、互いに顔を見合わせた。「…
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第55話 招待
その機会は唐突に訪れた。 リートがいつものように部屋でエミリアと談笑していると、そこに突然ミヒャエルが緊張した面持ちで訪ねてきたのだ。「アルベリヒが屋敷に招待してきた」 前置きなしでそう言ったあと、ミヒャエルが黒い封筒を卓の上に投げた。 …
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第54話 消えた台本
次の日、リートは聖殿にいるユーリエの元を訪ねていた。「もう体調は大丈夫なの?」 はい、とユーリエがうなずいた。「申し訳ありません、わたしが意識を失ったせいで、ルイス様もリート様も危険な目に遭わせてしまって」「君は悪くないよ。悪いのは犯人の…
RIHITO第6章 文章RIHITO
第53話 好きなこと
次の日、エミリアはリートの部屋の前でルイスに入室を阻まれていた。「ちょっと、どういうことよ面会謝絶って」 エミリアが抗議すると、ルイスが淡々と答えた。「リートの頼みだ。知りたいことがわかるまでだれにも会わないと」 エミリアが訝しげな顔にな…
RIHITO第6章 文章RIHITO
第52話 科学の本義
ミヒャエルがリートの部屋を訪ねてきたのは、休暇の最終日だった。「犯人が自首してきたの?」 リートは驚いてそう言うと、ミヒャエルがうなずいた。「ああ。今朝のことだ。正確には爆薬を調合した犯人だが」 今部屋にいるのは、リートを除けばルイスとミ…
RIHITO第6章 文章RIHITO
第51話 図書室で
なにかが変だ。 なにが変なのかわからないが、変だということだけはわかっていた。 リートは昔から気になることがあると、突き詰めないと気が済まない性格だった。食事しているときも入浴しているときも、朝から晩までそのことを考えてしまう。「おはよう…
RIHITO第6章 文章RIHITO
第50話 演じるということ
ミヒャエルの聴取が終わったあと、リートの部屋では、例によってまた四人が集まっていた。「議会が荒れているようだ。ハインリヒと連絡を取るのをやめてしまったから、わたしも正確なところはわからないが、どうも状況は芳かぐわしくなそうだ」 ミヒャエル…
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第49話 越えられない壁
「トリスタン!」 ハーナルの騎士が数人、トリスタンを取り囲んでいる。今にも連行されそうな様子だった。トリスタンが主人の姿を認め、驚いたように振り返る。「王女」「トリスタンはわたしたちとずっと一緒にいたわ。彼には無理よ」 答えたのはエドゥアル…
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第48話 守りたいもの
次の日の朝、ルイスは珍しく毎日の習慣から逸脱した行動を取っていた。 秋が深まりつつあるこの季節の早朝は、空気が張り詰めていて、上着なしでは肌寒い。 ルイスは、エミリアがこの時間帯にいつも剣術の稽古をしていることを知っていた。「ミリィ」 エ…
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第47話 後悔
リートたちが螺旋階段を上って地上に出ると、そこには夜会用のドレスから普段着に着替えたエミリアがいた。隣にはゾフィーもいる。周りにはアルフォンスたちハーナルの騎士が控えていた。「ユーリエ!」 ゾフィーがユーリエに急いで歩み寄る。「なぜこんな…
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