RE∞PLAY

最終話 ∞

 扉を叩く音がして、男は茶器を用意する手を止め、玄関に向かった。 扉を開け、目の前に立っている人物に微笑みかける。「そろそろ来る頃だと思っていたんだ」 男の視線の先に立っていたのは、ジーンだった。「今回の仕事も無事完了、かな」 出された紅茶…

第38話 新たな契約

 次の日も、シュンはずっとメグと一緒に過ごした。昼は前にやっていたように力を使ってゲームをして、飽きたらまたお互いの身体に触れて愛し合った。 彼女に気持ちを伝えるには、何度抱いても愛し足りない。そう思った。行為が終わったあとは、昔の話をいろ…

第37話 君の望みを

(……で、また軟禁状態か) 初めてこちらに連れてこられたときと同じように、シュンは寝台を出現させてその上に寝転がっていた。(これからどうなるんだろ、俺) あの案は、神話の本を読んだときに知ったのだが、まさか自分が提案する側になるとは思わなか…

第36話 決意

 いつのまにか薬や缶かんの湯が沸いて、蓋がカラカラと音を立てていた。 あふれる涙を乱暴に拭ってからシュンは言った。「……俺はどれだけ頑固なんだよ。何回リプレイしても落ちないって……乙女ゲームならみんな怒ってすぐに配信停止だろ」 そうだ。自分…

第35話 メグの物語(3)

 ……そう、思ったのに。(なにをやってるのかしら、わたし) めぐりは透明な姿でレストランのテーブルの下に潜り込み、瞬と舞花の会話を聞いていた。 どうせ別れるなら、自分がいないところで瞬がなにをしていたのか知ってからにしようと思ったのだ。(こ…

第34話 メグの物語(2)

「あなたの夢はなに?」 あるとき、めぐりがそう訊ねると、瞬の瞳が翳かげった。「……ないよ、そんなの。だいたい、夢を持てるのも叶えられるのも、ほんの一握りの人間だけだから」「どうして?」「俺の国ではそういうことになってるんだ」「今は違う世界に…

第33話 メグの物語(1)

 わたしはあなたのためになにもできない。 愛してくれないことよりも、それが一番、つらい。「婚約おめでとう、メグ」「……ありがとう」 メグは目の前に坐っている友人に、控えめに微笑んだ。 友人の家の庭に設けられた日除け付きのテーブルで、二人はお…

第32話 Fall in love

 めぐりは、ジーンと一緒に庁舎の渡り廊下を歩いていた。 歩きながら、ジーンが硬い表情でめぐりを見やる。「本当にこれでいいのか?」 めぐりは小さく微笑んだ。「いいのよ、ジーン。わたしは罰を受けなきゃいけないの。それだけのことをしたんだから。あ…

第31話 シュンと鯛焼き

 次の日の朝、シュンは前に住んでいたアパートの前に来ていた。(……なにやってんだろうな、俺は) 未練がましい。そう思ってもやめられなかった。 部屋にメグの持ち物はなにも残っていないし、シュンの携帯の中には、メグの写真が一枚も保存されていなか…

第30話 君のいない日々(2)

 シュンはぼんやりと電車に揺られていた。 しかも、わざわざ販売機で切符を買って。 自分でもなにもやっているんだろうと思ったが、止められなかった。 記憶が消えるまで猶予が二週間もあるのに、ただじっと待っているだけなんて耐えられない。あの時さっ…

第29話 君のいない日々(1)

 シュンは、時折マグカップに淹れた紅茶を飲みながら、無心でキーボードを叩き続けていた。メグがいなくなったあとの時間の流れは、シュンには恐ろしいほどゆっくりに感じられた。しかしほかにやることもないので、シュンは仕事に没頭して一日を過ごしていた…

第28話 別れ

「ただいま……」「おかえりなさい」 返事が返ってくるとは思わず、シュンは驚いて声のしたほうを見た。 メグはキッチンで洗い物をしているところだった。「なにか食べた?」 メグの顔は見ずに、シュンはそれだけ訊きいた。 本当は鯛焼きでも買って帰ろう…