第65話 迷宮の先に
「やめろ、ルーツィア!」 短剣を避けながらルイスは叫んだが、ルーツィアはやめなかった。悲痛な表情を浮かべ必死に叫ぶ。「お逃げください、ルイス様! 早く!」 その言葉を聞いてルイスははっと周りを見渡した。幾つもの黒い影が音もなく自分たちにじり…
RIHITO第8章 文章RIHITO
第64話 最後の告白
ミヒャエルが案内した先はバルコニーだった。ミヒャエルが人払いしたらしく、そこにはだれもいなかった。「どうしたんだ? わざわざわたしに用なんて」 開け放たれていた窓を閉めながら、ミヒャエルがそう言った。「ちょっと気になることがあって」 言い…
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第63話 内通者
「あったよ」「ありがとうございます」 リートがハンカチーフを差し出すと、ルーツィアは大切そうに受け取った。「まだ使っていたのか」 ルイスが目を細めて言うと、ルーツィアが微笑んだ。「ルイス様がわたくしに初めて贈ってくださった物ですから。大事な…
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第62話 気まずい二人
最後の台詞せりふを書いて、リートは机の上に突っ伏した。「終わった……」 今はそれしか考えられなかった。 人は長期間取り組んでいたなにかが終わったとき、感慨に耽ふけるより先に空っぽになってしまうものらしいとリートは思った。「できたよ、ルイス…
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第61話 失恋
書いても書いても終わらない。 リートはため息をついた。 手書きで台本を復元するのは骨が折れた。リートはこんなに長時間、自分の手で文字を書くのは久しぶりだった。 自分の世界では、電子演算装置パーソナルコンピュータに鍵盤型入力装置で文字を出力…
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第60話 エミリアの葛藤
「お待ちください、殿下!」「待たない」 背後にかかるゾフィーの声に、エミリアは小声でそう返した。 どこまでも追いかけてくるゾフィーに苛いら立だちながら、エミリアは王宮の中を足早に歩いていた。元はと言えば、授業に身が入らず、ゾフィーの講義を途…
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第32話 Fall in love
めぐりは、ジーンと一緒に庁舎の渡り廊下を歩いていた。 歩きながら、ジーンが硬い表情でめぐりを見やる。「本当にこれでいいのか?」 めぐりは小さく微笑んだ。「いいのよ、ジーン。わたしは罰を受けなきゃいけないの。それだけのことをしたんだから。あ…
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第31話 シュンと鯛焼き
次の日の朝、シュンは前に住んでいたアパートの前に来ていた。(……なにやってんだろうな、俺は) 未練がましい。そう思ってもやめられなかった。 部屋にメグの持ち物はなにも残っていないし、シュンの携帯の中には、メグの写真が一枚も保存されていなか…
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第30話 君のいない日々(2)
シュンはぼんやりと電車に揺られていた。 しかも、わざわざ販売機で切符を買って。 自分でもなにもやっているんだろうと思ったが、止められなかった。 記憶が消えるまで猶予が二週間もあるのに、ただじっと待っているだけなんて耐えられない。あの時さっ…
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第29話 君のいない日々(1)
シュンは、時折マグカップに淹れた紅茶を飲みながら、無心でキーボードを叩き続けていた。メグがいなくなったあとの時間の流れは、シュンには恐ろしいほどゆっくりに感じられた。しかしほかにやることもないので、シュンは仕事に没頭して一日を過ごしていた…
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第28話 別れ
「ただいま……」「おかえりなさい」 返事が返ってくるとは思わず、シュンは驚いて声のしたほうを見た。 メグはキッチンで洗い物をしているところだった。「なにか食べた?」 メグの顔は見ずに、シュンはそれだけ訊きいた。 本当は鯛焼きでも買って帰ろう…
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第59話 刺客
その夜、独房の中で、ノルベルトは自分の身柄が司法省に引き渡されないと知って、計算通りだと内心でほくそ笑んでいた。 ハーナルの連中は悔しがるだろうが、自分を欲しがる議員は何人もいるはずだとノルベルトは確信していた。 巡回にやって来た看守の足音…
RIHITO第7章 文章RIHITO