RIHITO 第2章 再UP
RIHITO第2章 再UP
RIHITO第2章 再UP
RIHITO第1章 再UP
RIHITO改稿のため、一時的に全話を取り下げ。
第34話 作戦開始(1)を追加、以後1つずつ話数を修正。
誤字、リンクミスを修正。
第52話 科学の本義を追加、以後1つずつ話数を修正。
「……やめろ」 気に入らない。 たかが一介の貴族が、王女である自分に命令するなんて。 鋭くこちらを睨にらんでいる少年と対たい峙じしながら、エミリアはそう思った。 エミリアは背中を踏みつけていた足を芝生の上に下ろした。 その瞬間、クラウスは負…
第36話を分割して第37話 ミヒャエルの謎解きを追加、以後1つずつ話数を修正
なにも見えない。完全な暗闇だ。 光がないせいで、自分の姿すら見えない。(戻れなかったのかな) リートはそう思った。 自分は失敗したのだろうか。 ならば、なぜまだ意識があるのだろう。 それとも、これから徐々に消えていくのだろうか。(あれは)…
「結局、君の言うとおりになったね。まさかベギールデがほかの近衛騎士まで取り込んでいたとは思わなかったが」 執務室の椅子に腰掛けたマティアスはそう言ってから、傍らに立っている白い法ほう衣え姿すがたのメルヒオルに視線を向けた。「でも、今回ばかり…
彼女に言わなければならないことがある。 剣を振りながら、ルイスはそう思った。 だがいざとなると、口にすることをためらっている自分がいた。 今までなにかを先延ばしにしたことはなかった。しかし、どうしてもそうする勇気が持てなかった。 近衛騎士…
リートは廊下を歩きながら、自分たちの縁はなかなか切れないらしいと、後ろを歩くヴェルナーをちらりと見てから思った。 近衛騎士に大量に欠員が出てしまったせいで、警護にはまたヴェルナーが来てくれていた。 ヴェルナーは、ソリンに関する最新の情報を…
「だから僕は、劇作家が死んだあとで舞台化したときに、作曲家が貴族たちの意向を受けて脚本を修正したんだと思うんだよ。だからだんだんエヴェリーンの神格化が進んで、最後ユストゥスが死んじゃう展開になったんだ」 そう締めくくってから、リートは顔を上…
次の日の朝、リートはじっと壁時計を見つめていた。 彼は時間ぴったりに来るはずだ。 秒針がリヒタール数字の十二を指したのと同時に、ノックの音がした。 リートは立ち上がって自ら扉を開けた。 そこに立っている人物に、リートはほっとして笑いかけた…
それから日々は瞬く間に過ぎた。 旅行から帰るときのように荷造りする必要がないので、リートは気楽なものだった。 帰る前日に、エミリアがルイスとミヒャエルを呼んで、また四人で話す機会を作ってくれた。 リートはそれが嬉しかった。 いつものように…
一ノ瀬理人=リート……男子高校生ユーリエ……ヴォルヴァと呼ばれる巫女ルイス・フォン・ブラウエンシュタイン……ソリン騎士団の騎士エミリア・アデーレ・リヒトガルテン……リヒトガルテン王国の王太女ミヒャエル・フォン・シェーンドルフ……ハーナル騎士…
リートは、ハーナル騎士団の庁舎にある中庭の長椅子に腰掛けて、ミヒャエルが来るのを待っていた。傍らには近衛騎士が立っている。 今は近衛騎士二人が交代でリートの護衛をしていた。 それは、ヴェルナーが責任を取って辞めると申し出たせいだった。 リ…
「聴取の内容はおまえが記録してくれ。おまえのことだから、速記もできるんだろう?」 庁舎に戻ったミヒャエルがルイスにそう言うと、ルイスが怪け訝げんな表情になった。「できるが、おまえの部下はアルフォンスだろう。頼めない理由でもあるのか?」 ミ…
ルイスと別れて部署に戻った瞬間、騎士たちの視線が一斉に自分に集中したので、ミヒャエルは当惑した。しかし原因はすぐにわかった。 自室の前に、トリスタンが直立不動の姿勢で立っている。 それが意味することはひとつだった。 トリスタンが扉を開け、…
「……ルイス」 エミリアはそれだけ言うのがやっとだった。 なぜ、よりにもよってこんなところを見られてしまうのだろう。 いつも自分たちは間が悪いことの連続で噛かみ合わない。 バツの悪い思いで固まっているエミリアとは対照的に、ミヒャエルはまった…
「じゃあ、僕が字を読めるようになったのも君のおかげだったの?」 リートが目を丸くして言うと、エルフリードがうなずいた。「そう。言語だけ僕の記憶から取り出せるようにしたんだよ。君の世界にある外部記憶装置に接続するみたいにね。君の世界に行くまで…
「ルイス……なんでここに」 リートがそう言うと、ルイスが近寄ってきた。「ミヒャエルに頼まれたんだ。仕事に必要だから調べてくれと。君こそどうして――」 しかし、ルイスは言葉の途中で突然はっとしたように周囲を警戒した。「どうしたの?」「いや、な…
次の日の早朝、ルイスはいつも通り稽古を終えたあと、指定された場所でエミリアを待っていた。 勇気を振り絞って開けたにもかかわらず、手紙に記されていたのは日時と場所だけだった。 しかし、時間になってもエミリアはやって来なかった。 彼女は自分が…
メルヒオルは屋敷の客間で、客人と机を挟んで向き合っていた。「君がわたしの屋敷に来るなんてね。わたしは原稿の執筆をやめて、遺言状でも書いたほうがいいのかな」 客人の男がじろりとメルヒオルを睨む。「……どういう意味だ」「わざわざ君がわたしの屋…
その頃、リートは落ち着かない気持ちでソファに坐っていた。 今日は婚約式が行われる日だ。 結局、どうしていいのかわからないままこの日を迎えてしまった。 「なんとかならないかな……」〈君が会場に乱入して王女を攫さらってきたら?〉 エルフリード…
ルイスは泣かない人だ。 エミリアはそう思っていた。 一般的に、男性は人前では泣かない。 だがおそらく彼は、子どもの頃から今までだれかが見ている前で泣いたことがない。 エミリアには、なぜかそんな確信があった。 しかし、自分は一度だけ見たこと…
扉が開いた瞬間、リートは緊張した。「おはよう、リート」「おはよう、ルイス」 しかし、リートはそこから言葉が続かず口を閉じた。こういうとき、なんと言っていいのかわからなかった。 ルイスとまともに話したのは、葬儀の日以来だった。「わたしがいな…
庭園の端に広がる湖の土手に、リートは腰を下ろした。 この数日、リートは時間があればずっとここで物思いに耽ふけっていた。部屋にいるのは息が詰まったし、良くない感情に囚とらわれて抜け出せなくなってしまいそうだったからだ。 膝を抱えて座り込み、…
「……君はお人ひと好よしだな、リート」 ミヒャエルはそう言いながら、制服の上着のポケットから懐中時計を取り出し、蓋ふたを開けた。「もうこんな時間か。時間が経たつのは早いな」 リートは、ミヒャエルの時計をじっと観察した。この懐中時計の鎖には、…
リートは、ユストゥスとエヴェリーンの復元された台本を読みながら、ぼんやり考え込んでいた。 それは、ルイスの暗あん誦しょうする内容をリートが母国語で書いたものだった。 いつもの自分なら、だれかの記憶に頼ったものなど信用しなかった。 人間の記…
次の日の朝、リートはエミリアに言ったとおり、ライナスの眠る墓地を訪れていた。「久しぶり」 あのときにはなかった真新しい墓石の前に、リートは花を手向けながらその場にしゃがみ込んだ。墓石には、彼の名前と生没年がリヒタール文字で刻まれている。「…
「そろそろ戻りましょう」 ヴェルナーに促され、リートはうなずいた。 二人は無言で元来た道を歩いた。 しかし、二人の行く手を阻むように、出口のところに黒い法ほう衣え姿すがたの男が立っていた。 ヴェルナーが警戒した顔で、リートを庇うように前に立…
リートは車寄せに停とめた馬車から降りると、ヴェルナーを伴って部屋に戻った。 しかし、扉を開けようとしたヴェルナーが無言で自分に目配せした。 鍵が開いている。ヴェルナーは警戒しながら扉を開けたが、中の光景を目にした瞬間息を呑のんだ。 そこに…
「え……?」 メルヒオルの言葉を聞いたリートの第一声はそれだった。 エミリアも納得できないという顔でメルヒオルを見た。「しばらく休むって……どうして?」「なに、少し休暇を取るだけだ。この機会にやりかけだった本の執筆の続きでもしようかと思って…